妻へ 80代 北海道 第11回 入賞

天国の妻への手紙
辻 信雄 様 80歳

 貴女が天国に旅立ったのは2011年1月11日と1が5つも並んだ日でした。それから7年7か月を迎えようとしています。

大動脈瘤の破裂で5時間で亡くなり、ただあなたの右手を握りしめるだけで、お別れを言いたかったが、何もできなかった自分が悔しい。この事が、未だに頭から離れません。

今思いだしますと、あなたが亡くなる11日前の大晦日に、夫婦について話していた時、あなたに「あんたで良かった。もう何も心配することがない」と、褒められたのが、あなたの別れの言葉だったと思っています。

「あなたは、笑顔が素敵な自慢の妻・母親・しゅうとめ」で、特に苦しい時に助けて貰った事、子供の誕生や楽しかった旅行など沢山の思い出を作ってくれました。この感動をかみしめたり、あの時、こうすれば良かった、と反省しながら毎日を過ごしています。せめて、大晦日のあの時「僕も48年間の結婚生活は幸せでした」の一言だけでも伝えたかったのに言いそびれました。

今、改めてお礼を言います。

貴女の喜ぶ顔を見たい一心で働いてきました。その目標がなくなり、朝、目覚めると、いつも側にいたあなた、外出先より帰った私を出迎えてくれたあなたがいない。1日中、一言も話さない日もあり、魂が抜け、涙がすぐ出たり、寂しくて挫けそうになり、1日も早くあなたのところに行きたいと願った日もありました。ですが、あなたは、誰にでも親切でやさしかったので、あなたが亡くなった後も、あなたを忘れずにいてくれる人達の助けと、あなたの「定年後はぬれ落ち葉にならないで」という一言で挑戦したマンション管理士になり、今では「天職」となり、今まで何とか生きてきました。一緒に施設に入る夢は達成できなかったが、ピンピンコロリであなたと会える日を楽しみにしています。

その日までさようなら―。(合掌)

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