あなた、如何お過ごしですか。私は見ての通り毎日大変です。でも、そんな私を陰からそっとお手伝いしてくださっている事は知っていますよ。ありがとう。
忘れもしないあの日、突然あなたが逝ってしまって、私は心の準備も出来ないまま辛く苦しい思いをしました。私が唯一、神仏を信じない日と言っても過言ではありませんでした。そして、その通夜に半狂乱で夢か幻の中、あなたに言われた、「息子達三人を頼むぞ」という言葉を心の糧にして十九年間頑張ってきました。
今年、貴康は二十歳、あなたが望んでいた「三本の矢」はとうとう全員成人しました。でも、息子達が巣立っても、私には介護など苦労が絶えません。あなたが私に安らぎや幸せを与えてくれないのはどうしてですか。きっと私が幸せになったら自分の事を忘れてしまうと思っているからでしょう。
そういえば、あなたはいつも言っていましたね。「もしも、万一俺が先に死んだら、おまえに男を近づけない。絶対に。そして、どんな時でもおまえ達を守ってやるから心配するな」と。お陰で、あれからずっとご縁が無縁の私でしたよ。おまけに、男性が近づくと気分が悪くなるのはあなたの悪戯ですか。あなたと私にはもう孫が四人もいるのですから悪戯も程々にしてくださいね。
そんなあなたに最後にお願いがあります。あなたと私の「三本の矢」をしっかりと見守ってください、という事です。何があっても折れないように。そして、いつまでも仲良く力を合わせられますように。
あなた、それから一番大切な事、子供達に迷惑がかからないうちに、私のお迎えお願いしますよ。私を慕っているのなら。