あなたと知り合ったのは就職一年目。幼稚園教諭となり試行錯誤の毎日。慣れない仕事に書類などにも追われ、休日も一緒に仕事。気が付けば家族より、恋人よりも長い時間を共にしていた。
お互いの職場が変わり、結婚するとなかなか会えなくなった。けれど会うと変わらず居心地の良い友だちだった。そんなあなたは病気がちな私と違い、介護に育児、仕事をこなすパワフルな人だった。
私が妊娠し、娘を死産した時、「悲しいけれど天国で自分を待っていてくれる味方がいるのだよ。それってすごいことだよ。羨ましいくらいだよ」と言った。あなたらしい励まし方だったなと今でも時折思い出すことがある。
お互いに忙しくて四年振りに会った時、私の腕を組み「きゃー、嬉しい!! 記念にお揃いの靴、買おうよ! 」と店の前に立ち止まり言ったよね。さめてる私は「今日は持ち合わせないから今度ね」と立ち去った。
でも『今度』はなかった。まだ四十代なのに、あなたはさよならも言わずに突然逝ってしまった。私はあの時、お金を下ろしてでもお揃いの靴を買えばよかったと後悔している。黒にピカピカの石がついたパンプス。今でも靴を売っている店に行くと、ないかなと探している私がいる。 でもね、そんなことを言いながらも心の底からあなたがいなくなったとは、今でもまだ信じられない。また私の腕を組み「久し振り! 」とひょっこり現れてくれそうな気もしている。
ねぇ、天国ってどんなところ? 亡くなった私の娘もいるの? 私はあなたと娘がいつも私の味方でいてくれ、天国から見ていてくれていると信じている。だから、こちらの世界でできる限り丁寧に生きていくから見ていてね。またいつか会えたら、今度はお揃いの靴を買って一緒に履こう。絶対に。約束するからね。