母へ 20代 千葉県 第3回 入賞

お母さん いつも ありがとう
豊田 美和 様 29歳

 「もういいよ」

それがお母さんへの最後の言葉だったね。「今日はお母さんがお出かけしたから、ばあちゃんに色々言われて大変だったんだから」何度もすまなさそうに「ごめんねぇ……」と謝るお母さんに、「もういいよ」そう言って出かけた私はまさかお母さんとあのまま話せなくなるなんて思わなかった。

 

クモ膜下出血でお母さんは病院に運ばれた。みんなバタバタしてる中、お母さんだけは静かに横たわってたね。私は何度も起きてってお願いしたんだよ。だってこのまま謝れないでお別れするなんて嫌だったから。お願いだから、謝らせて欲しかった。

 

あれから13年。お母さんに教えてもらった事、助けてもらった事がたくさんあるよ。受験や就職の時、いつも「お母さんが見守ってくれるから大丈夫」そう自分に言い聞かせて頑張れた。

 

お母さんが安心出来るような素敵な旦那さんと結婚して、子供が3人も! しかもそのうち二人は双子なの。妊娠8ヶ月で出産させなくちゃ危ないと言われて、私の指の太さくらいしかない細い足で産まれた小さな赤ちゃん達を見た時もお母さんを思うとなぜか大丈夫な気がした。もう充分大人なのにまだお母さんに頼っててダメかなぁ?

 

それとお母さんにずっと謝れなかった私だから、今は心に決めてることがある。それは、旦那さんとケンカしても必ず出かける前には仲直りをすること。あんな思いは二度としたくないから。このまま会えなくなることがあっても後悔しない様必ず笑顔でいってらっしゃいを言うこと。その日その日を精一杯生きないと後悔することがあるということ。お母さんに教えてもらいました。

 

お母さんには会えなくなったけど、お母さんはいつも身近にいるような気がする。だから、今さらだけど言わせてね。

あんな言い方して ごめんなさい。

ケンカしたままで ごめんなさい。

 

きっと私はお母さんより年上になる日が来ると思う。その毎日を後悔しないように精一杯生きていくからずっとそばで見ていてね。

 

お母さん いつも ありがとう。

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