友人知人へ 40代 宮城県 第13回 入賞

最期のLINE(ライン)
村松 真理子 様 48歳

 私の大事なママ友だったあなたが亡くなる時、大学生の息子さんが何度もラインをくれたの。履歴は今も大切にしてる。天国のあなたも多分知りたいだろうから、教えるね。

「母が長年患っていた癌のため、ホスピスに入院しました。呼吸も発話も困難で、せん妄で寝たきりです。日にち単位の余命を宣告されました。急ですが母へ一言お願いします」

遠くに引っ越して全然知らずにいたから、信じられなくて、でも何度もこの文章を読み返して、泣きながら大急ぎでラインを書いたの。お礼と、お詫びと、思い出と……。スマホの画面いっぱいに。間に合ったんだよね。

「頂いたメッセージ、しっかり認識していました。以下、本人からの言付け、記します」

そして、一行空けて、

「ありがとうございました」

このひらがな十一文字。こんなに深くて重い文字、他に知らない。涙が溢れて止まらなかった。苦しい中で、一つ一つ、やっと唇を動かしてくれたんだよね。十一文字の奥にあるたくさんの想いも、ちゃんと届いたよ。息子さんが私達に、最後にもう一度心を交わす、貴重なチャンスをくれたね。お陰で少しだけ、気持ちの整理がついたかもしれないね。

まもなく、あなたが亡くなったとラインをもらった。そして、九年以上の闘病で、何度も手術もしたって聞いたの。本当に驚いた。言ってくれれば良かったのに……。何も知らずにお世話になってばかりだった、と詫びると、

「母は良くも悪くも自分を出さない人で、僕にさえ病のことを話しませんでした。知らないのも無理ありません。お気になさらずに」

辛い時に、相手を気遣う言葉。本当に立派な大人でしょう? あどけなかったあの子がこんなに成長したなんて、感動しちゃうよね。

今、あなたの優しい笑顔ばかりが思い出されるの。私の永遠の憧れであるあなたと、本当に素敵なあなたの息子さんへ、心を込めて、

「ありがとうございました」

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