父へ 20代 長崎県 第6回 入賞

自慢のお父さん
矢野 麻衣 様 29歳

 お父さんが旅立ってから三ヶ月……少しずつ私達前に進もうとしてるの見てくれてる?

それでもやっぱり癌が憎いよ。あんなに突然お父さんがいなくなっちゃうなんて……お父さん、苦しかったよね。辛かったよね。それでも病院に行く度に優しい笑顔で迎えてくれたよね。なかなかいないよ……余命宣告されても「しょんなかたいねー」で笑い飛ばせる人。でもね、そっと病室に入った時に窓から空をジーっと見つめてたお父さんが忘れられないよ。空を見る度に思い出すんだ……。あの時何を思ってたのかなぁって。

それと、この前お父さん夢に出てきてくれたよね。いつもの笑顔でさ。目が覚めた時また会いたくて頑張って目をつぶったけど会えなかった。心配して会いに来てくれたのかな。お母さんに言ったらブツブツ言ってたよ。「お母さんには会いに来てくれん!!」って。昔からお父さん愛情表現が下手だったから恥ずかしいんだよね。ねぇお父さん、たまにお母さんさ、お父さんの部屋で泣いてるの見てる?いつもは明るくしててまわりからも「立ち直り早いね」なんて言われてても、お母さん一人で泣いてるんだ……。天井に手を伸ばしたりしてるんだよ。お父さん、もし見守ってくれてるなら恥ずかしがらずにその手を握り返してあげて下さい。二人の愛ならお母さんはきっと感じるから。

お父さん、恥ずかしくって口になんか出せないけど最高の優しさ、温もり、笑顔をありがとう。私は昔からお父さん似です。笑うとタレ目になるとこはお父さん譲りです。笑顔は人を幸せにする……そう教えてくれたのはあなたの笑顔です。私はあなたの娘で幸せです。最期に「先にいくけど幸せになれよ」って言ってくれた事忘れないよ。幸せになるから。

明日は息子の誕生日です。去年はお父さん仕事休んでまでお祝いしてくれたね。今年もビール準備しとくからね。何も気にせずに飲んでいいからね。

お母さんは私が守るからお父さんは今までの疲れを忘れてゆっくり休んで下さい。

 

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