もう五年なのか、まだ五年なのか、君との別れから時は流れているようで、あの時五歳だった子供も小学校の高学年になりました。間違いなく月日は流れているのですね。僕の頭にも白いものが少し見えてきました。そうですね、鏡に映った自分の姿を見ると、時の流れを感じてしまいます。とは言うものの時の流れを感じている僕と、君が居たころのまま動かない心を持った僕がいます。僕の中の至る所に、まだ若く元気な頃の君が居ます。ずっとずっと動くことのないまま僕の心の中で君が居ます。
「さみしいです」
「あいたいです」
「そばに居てほしいです」
この想いは五年経っても変わることなく、僕の中で君に呼びかけています。
「伝わりますか」
伝わらないですね。日々の生活の中で、心の折れることがある毎に、君が
「そばにいてくれたらな」
「話ができたらな」
と想いながら、折れた心をなんとか真っ直ぐできないものか日々もがいています。
最近、幼い女の子とその女の子の小さな手を繋いで歩く親子三人の姿に出会うと、僕たちにもああいう時があったなと思わず足を止めてしまいます。考えてみれば、あの頃が一番幸せの頃でしたね。あの頃の僕はこういう幸せがいつまでも続くものだと想っていました。君はどうでしたか?あの頃にはもう病が君の中にあったのですね。その病と闘いながらの生活でしたね。倖せを感じることはできなかったかな。
「ごめんね」
君の痛みを取り除くことはできなかったね。僕は何もできなかったですね。そういう想いも僕の中で言えることはありません。
君へ、
もう一度あいたいです。