祖母へ 30代 北海道 第12回 入賞

私の代弁者
佐々木 美和 様 34歳

 ばあちゃん、私、小さい時うまく言葉が喋れなくて、いつもうなずいて返事をするか、恥ずかしくて言葉が出ないかで「家ではヘラヘラお喋りするんだから、外に出てもしっかり自分の意見を言いなさい!」って親に怒られてたよね。そんな時、ばあちゃんが「喋ろうとしてるのにあんた達がせかすからうまく喋れんのじゃろ!!」って言ってくれた時、私はだんまりした両親を見てばあちゃんって強い!! ってびっくりしたの覚えてる。そして「自分に子供が出来たらね、同じ時間を過ごすんだからゆっくり子供を見て大事に育てなさい」と教えてくれたね。

私が小学校に入る前に、ランドセルを買いにみんなで出掛けて、一番高いランドセルだったみたいだけど、とてもかわいくて私はこれが欲しいと泣いて泣いて、私もだんだん引き下がれなくなってきてさ、そしたら親に「ちゃんといい子にしてたら買ってあげる! いつまでも大声で泣いていいかげんやめなさい!」って怒られて、すかさずばあちゃんが「みっちゃんは毎日いい子にしとるでしょ! 大声出してるのはどっちかね! いい子にしてるなら買ってやるなんて親の都合で言うもんじゃなかろーが! 子供をなんだと思っとるの!」と一喝。するとばあちゃん、曲げた腰をピンと伸ばして、私が欲しいランドセルをレジまで持って行って買ってくれた時はびっくりして涙が止まったけど、それよりも車の中でお父さんもお母さんも私に謝ってくれた。私もまた泣きながらごめんなさいってした後、みんなでばあちゃんにランドセルありがとうって言った時のみんなの顔が優しくて、すごく嬉しかった気持ちまだ忘れてないよ。それから六年間共働きの両親の代わりに私をいつも見守ってくれて一番の理解者であり代弁者でした。

そして今、私は優しい夫と二人の子供に恵まれました。育児でイライラした時、ふとばあちゃんを思い出すの。すると不思議と余裕が出るんだ。歳を重ねても見守ってくれてありがとう。

 

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